このページの目次
- 1 今回のインタビュー
- 1.1 御社はどんなサービスを提供しているのですか?
- 1.2 ユアドクの使い方はメッセージや電話など、どんな形なのですか?
- 1.3 このユアドクはユーザーのどんな問題を解決してくれますか?
- 1.4 このユアドクと言うアプリは、専属のお医者さんを抱えてているのですか?
- 1.5 このアプリを運営していく上での課題点はなんですか?
- 1.6 アプリに登録するお医者さんそのものは選別するという考えでしょうか?
- 1.7 ユアドクの見込み客はどんな方が対象ですか?
- 1.8 その見込み客にどうやってアプローチしていますか?
- 1.9 見込み客にアプローチする時に意識しているキーワードや、表現は何ですか?
- 1.10 外国人の方はどういう言葉で流入しているか、というチェックはされていますか?
- 1.11 今後の目標を教えてください。
- 1.12 最後に、このユアドクのサービスについてのPRをお願いします。
- 1.13 まとめ
今回のインタビュー
今回はなんと現役のお医者様にインタビュー!!”言語”という壁による障害を取り除くべく、8月21日にスタートしたサービス「ユアドク」について、サービスリリース前にUrDoc創業者の唐橋一孝さんにその詳細をお伺いしてきました。
御社はどんなサービスを提供しているのですか?
簡単に言うと日本で初めての自国語でお医者さんに相談できる医療相談アプリです。日本語だろうと中国語だろうと英語だろうと、言語に関わらず誰でも困ったらお医者さんに繋がりますよ、というアプリ。それがユアドクです。ユアドクのアプリをインストールしていれば、様々な言語を話せるお医者さんと、スマホの画面を通じて直接話すことができます。
ユアドクの使い方はメッセージや電話など、どんな形なのですか?
フェイスタイムのようにビデオ通話ができます。もちろんプライバシーも考慮して、テキストや音声でやり取りするという事も可能となっています。
このユアドクはユーザーのどんな問題を解決してくれますか?
言語の面から、不安を取り除いてくれます。言語の障壁というのは、僕ら(日本人)が外国に行くよりも外国人が日本に来たときの方が高いわけです。それは薬局でも病院でもそうだし、今目の前にあるお茶がたまたま悪くてお腹を壊して、という状況でも全然日本語を喋れないから誰にも相談できない。でもそこでスマホで相談できる、英語を喋れるお医者さんがいれば安心じゃないですか。
特に言語は課題がありまして、日本人は第2外国語を持たないじゃないですか。学生の頃に英語を習う事がありますが第2言語を持っていない。なんとか拙い英語や、中国人に対しては漢字を紙に書いて会話しようとしたりとか。そういった部分は日本は特殊だと思っています。私はアメリカに住んでいたのですが、アメリカでは英語が喋れるのは当たり前、スペイン系の人はスペイン語、中国系の人は中国語を喋れる、みたいな。英語だけしか喋れない人もいますが、やはり第2外国語があるのが当たり前なのです。それが日本にはありません。
実際に韓国の旅行代理店の方から、こんなエピソードを聞きました。バスを貸し切ってみんなで日本の好きなところに行くと言うツアーがあったのですが、参加者の一人の体調が悪くなってしまったそうで。皆さん韓国語は喋れるのですが英語も日本語も喋れない、添乗員も韓国語しか喋れないと言った状況だったそうです。とにかくインターネットで近くの病院を調べて添乗員が付き添いで病院へ行くことになったそうなのですが、そうなると今度は残りの参加者につく添乗員がいなくなる。仕方なく、みんなで病院に向かうことになってしまったそうです。病院に着いたら着いたで、言葉が通じない。そうした時にユアドクの価値が発揮できると思います。ユアドクには韓国語を喋れる医者もいますからこのユアドクというアプリは、医療における言語の課題を解決してくれるアプリなんです。
このユアドクと言うアプリは、専属のお医者さんを抱えてているのですか?
お医者さんが負担になってしまうので、抱えていません。ご想像の通り、お医者さんは非常に忙しいです。土曜日は午前中で基本的に終わりなのですが、だいたい午前中ギリギリに患者がいらっしゃったりします。僕は外科系なので縫わなきゃいけない患者さんだったりすると手術をして気が付くと夕方になっている、という事が割とよくあります(笑)
そういう状況なので、お医者さんに「ユアドクのためにこの時間帯は必ず確保してください」とは正直言い辛いのです。ですから、一人ひとりのお医者さんのスキマ時間をシェアしてもらうのがいいと思っています。それでユアドクでは、医師側はオンライン/オフラインを簡単に切り替えられるようにしました。例えば、池本さんがお医者さんで「よし、今日は5時間あるから5時間やろう」とオンラインにしても「あ、トイレに行きたい」と言えばオフラインにして、戻ってきたらオンラインにして、友達から電話かかってきたらオフラインにして、といった具合に切り替えられます。本当は5時間やろうと思ったけど今日は勤務がヘビーだったからやめておこう、という事でオフラインにする、といったことも可能です。
このアプリを運営していく上での課題点はなんですか?
相談できる先生をとにかく増やしていくというのが一番の課題です。少しでもお医者さんの負担も減らしつつ、できるだけ多くのユーザーの対応ができる状態を作りたいと思っています。2015年から法律改正が大分進んできてこういった事業がやりやすくなったのです。しかしながら、現在はオンラインだけでできることには法律上の制限もあるんですね。そんなわけで弁護士を4人付けて医療安全に配慮して、慎重に進めています。
スタートは医療相談という形で始めていきますが、これはプラットフォームビジネスと考えています。ユーザーとお医者さんを繋ぐだけでなく、将来的にはお医者さん同士が繋がり、お医者さん同士で相談できるような形も考えられますね。またユーザーについても、現在は日本国内での利用を主に想定していますが、海外展開も早期にはかっていきたいと考えています。
アプリに登録するお医者さんそのものは選別するという考えでしょうか?
お医者さんなら誰でもOKとはしません。先日、震災の時にニセ医者が現れたことがニュースになりましたね。テレビで被災地での医療活動についてインタビューを受けている人が実はニセモノだった、という事が現実にありました。
僕らの事業でも同じことが言えます。英語が喋れる、中国語が喋れる、という事で医者と偽って登録できてしまうようでは非常に危ないので、現状参加していただいている30名程のドクターは基本的には全員僕が会った上で登録してもらっています。直接会ってない方もいらっしゃいますが、Facebookで繋がったり、個人的なメールでやり取りをしたりとか。お医者さんの世界は狭いので、メールだけやり取りした方がいたとしても知り合いの知り合いだったりすることが多いんです。「そういえば〇〇先生ご存知ですか?」「知ってます」「どんな方ですか?」というように話を聞いてみたりするなど、お医者さんのネットワークを作って、そのお医者さんがきちんとした方だと確認する、という事をしていきます。
ユアドクの見込み客はどんな方が対象ですか?
日本に来る外国人、日本に住んでいる外国人が対象になります。もちろん日本人でもよいのですが、基本的に日本人の多くは健康保険に加入していて、保険証があればどこでも病院に行けるじゃないですか。ユアドクはそういった医療サービスを必ずしも享受できない方々をも想定しています。それは言葉の問題、医療情報の問題で日本の医療にリーチできない外国人が中心になると思います。
その見込み客にどうやってアプローチしていますか?
日本に来て、実際にん病気やけがに見舞われたときにいち早くユアドクを知ってもらうことが大事ですが、できれば日本に来る前に知ってもらいたいです。
そう言った点から我々が今やっているのは、大使館などにニュースレターなどを送るなどの形で情報発信をしたり、私が海外の様々な場所に行って現地の医療関係者と意見交換をしています。海外の同様のサービスと連携して、その国のユーザーが日本に来た時はユアドクを使ってもらい、逆に日本のユーザーがその国に行ったときはあちらのサービスを使ってもらう、などしながらユーザーを増やしていくことを考えています。
一番ユーザーを確保できると考えているのは、日本のホテルに営業をかけることかなと考えています。ホテルの方にユアドクのサービスがあるという事を知って頂き、日本に来る外国人の方々にまずは周知してください、という活動をしていって広げていくのが見込み客のファーストカスタマーになるかなと思っています。ホテルというところで言うと、Airbnbも凄く相性が良いと思っていて、Airbnbの日本代表の方に会えればいいなと思っています。今Airbnbの日本代表に会いたいって言って回っているので、このインタビューが届くと嬉しいです。
見込み客にアプローチする時に意識しているキーワードや、表現は何ですか?
そこはこだわっています。例えばユアドクのパンフレットは日本語版と英語版があるのですが、日本語版には「医師につながる安心を、日本でも」と書いています。でもこの表現を英語に直訳すると、ちょっとかっこ悪いし、伝わりづらいんですね。そこで英語版では「doctor is on」としました。ここは普通「doctor is in」なんですよ。正確には「doctor is in the office」で、これは医者が診察室にいますよ、という意味なのですが、ユアドクでは「on」ではなく「in」にしました。「doctor is on」はオンラインの「on」なんですね。inをonに少し変えてあげる事でオンライン感が出る。そういう細かいところも、メンバーでアイディアを出し合ったりしています。
外国人の方はどういう言葉で流入しているか、というチェックはされていますか?
このサービス自体がこれから始まるので、まだ有意義なデータは取れていません。ただ、アメリカ人の友達とか海外の人に、病気になった時に通常何てGoogle検索しますか、と聞くと「doctor near by」と言った返事が帰ってくるのですが、それが例えば「online doctor in japan」とかになってくるといいかなとは思っています。そうすると、英語の人は良いけれど中国語の人はどうするんだ、とかになってくると思うのすが。とにかく今はチャレンジング過ぎて本当に大変なんですが(笑)やっていてとてもやりがいがあるので面白いとは感じています。
少し話は脱線しますが、私は医者をずっとやってきて、日本では医者の人数としては32万人くらいいるんですよ。そんな時にふと外国人の医者って何人くらいいるんだろうと思って調べてみたんですね。僕の肌感では100人くらいかなぁなんて思っていたのですが。実は2500人程もいることが分かって驚きました。研究とか医学教育とかに携わっている方が多いのですが、確かに自分でも思い返してみると、大きな有名病院に行くとカナダ人とかどこどこの国のドクターで医学教育専門に従事している方がいたりするんですね。日本人ドクターでも海外に住んでいたとか、向こうで免許を取って今日本で医者をやっているという方もいらっしゃいますし。本当に色んなバックグラウンド持った人達っていらっしゃるんだなと思っていて。そういう人たちに一人でも多く響いていって、ネットワークが作れるといいなぁと思っています。
今後の目標を教えてください。
「医療のボーダレス化を実現して人類に貢献する」という壮大な目標があります。医療のボーダレス化というのには様々な側面があります。国が変われば、医療制度や言語が変わりますね。そういう意味でのボーダーがあります。また日本国内においても、例えば医師にとって、日常生活の場と仕事の現場とのボーダーがあります。パソコンがあれば外でも仕事はできるはずだけれど、ネットワークの問題やセキュリティの問題から病院の中でしか仕事ができない、と行った隔壁もあるんです。そう行ったところにも切り口を見つけて医療のボーダレス化を実現するというのが、僕らのサービスの大きな目標です。
最後に、このユアドクのサービスについてのPRをお願いします。
このサービスは社会課題の解決をベースとした事業です。ですからこの事業を残さなければいけないと思っています。その為には一人でも多くの先生に参加していただき、一人でも多くのユーザに利用していただければと思います。そのためにも、情報面、法律面、医療面での安全性を確保する事が最も重要だと考えています。やる事としてはとにかく粛々と真面目に事業を進めていく事、これに尽きるかと思います。
まとめ
私自身旅行が好きなのでよく海外へ行くのですが、やはり知らない土地で体調を崩すことやその時の対応については不安を感じます。そんな時、母国語で話ができるお医者さんと繋がれたら「言葉の障壁がない」ことはもちろん、受診のサポートにも繋がってどこか安心できますよね。このユアドクはまさしくそうした医療の様々な課題をボーダーレス化してくれる優れたサービスです。今後このユアドクは日本から世界へと大きく広がって行くことでしょう。
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