お金管理が透明化できるアプリ「Gojo」

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今回のインタビュー

国や会社に頼らずとも、自分たちで助け合いの暮らしを実現できる。そんなアプリがあったら、今よりももっと心が豊かになれると思いませんか?今回は、みんなで暮らしを作っていくための共同体プラットフォームアプリ【Gojo】についてお話をお聞きして来ました。

御社のサービスについて教えてください。

私たちは【Gojo】というサービスを作っています。無尽・たのもし講と呼ばれる、市民がお金を貯め合って、必要な時に必要な人に渡すという仕組みを自分たちで行う文化が沖縄県や山梨県に昔から今も続いているのですが、それを現代のデジタル、アプリケーションで実現しているのがGojoというサービスです。Gojoというのはローマ字でGojoと書くのですが、もともとの由来は「互いに助ける」という互助からきています。ですので助け合いが元々の発想からきているプラットフォームとなります。

クラウドファンディングと似ている部分があるように思いますが、違いはどのあたりでしょう?

クラウドファンディングとは目的が違っています。クラウドファンディングは資金調達を目的にしていますが、Gojoは小さなコミュニティのお金管理を目的にしています。例えば普通は家族なら家族の共同口座、会社なら会社の共同口座があって、その中で生活費を出したり経費を出したりしていると思いますが、家族でもない会社でもない、その間の組織に向けたお金の管理サービスだとイメージしてもらうとわかりやすいと思います。例えばシェアハウスの中で生活している人々、家族ではないけど助け合って生きている人、ソーシャルワーカーやボランティアの方などは共同でお金を管理する仕組みが未だにないため、完全に手集金といったアナログで管理しています。そういったコミュニティでは集金部分を可視化できていないのですが、そうした方々にお金を簡単に貯め合えるような仕組みを提供する為に私たちはサービスを提供しています。

一方のクラウドファンディングは、そういった方々が外からお金をもらうためのツールだと思います。Gojoは自分たちもお金を出しているケースが多くて、サークルを思い浮かべると、自分たちで毎月いくらから払って、体育館や施設を借りていると思うのですが、そのイメージがGojoに近く、自分たちが活動する為のお金を溜めながら補足的に外からのお金も入れられる仕組みになっています。コアメンバーの人たちがお金を入れ合って管理する、という事が私たちの発想の原点になります。

gojoの仕組み図

外の人たちが入金した場合、リターンみたいなものはあるのですか?

コミュニティを応援したいという動機でお金を入れるので、リターンはありません。自分たちが寄付したお金でコミュニティが活動する事によって、自分たちの生活が良くなる、自分がすごく元気づけられる、といった対価が得られると考えるので、強いて言うならそうした意味的報酬がリターンかなと思います。

例えばスポーツのコミュニティがあるとして、すごく頑張っている人たち、子供たちを見守る事で凄く満足感を得られるとか希望が得られるとか。自分の町の自治会に寄付をするとその自治会がゴミ拾いをしてくれるとか、生活に直結する良い活動をしてくれるとか。経済的価値じゃないモノが得られる、と思っているのでそういう事にお金を皆さん出していると思っています。

例えばどのようなコミュニティがありますか?

分かり易いところでは凄くお金が回りやすいシェアハウスです。ニーズが顕在化していて、今は缶のようなものにお金を入れたり銀行振り込みをしているのでニーズが明確です。他には趣味の共同体、フットサルやバスケットボールやアニメや日本史といった、趣味で集まっている人たちです。街づくりでは、古民家再生やお祭りをするというときに運営費を管理しないといけないのでその時にお金を入れておける場所として使って貰っていたり、人権課題解決系でも利用してもらっています。数自体は多くないですがニーズはあるので、こういった課題解決をするボランティアグループにも活動費を自分たちで管理する際にブラックボックス化しない透明なお金の管理アプリとして使って頂いています。

Gojoはアプリ上でお金がいくら残っているかということを、みんな見ることができるようになっています。そして、お金そのものの動きの履歴が残るようになっています。誰が入金したか、誰が出金したか、ということが全部見えるようになっているので搾取されづらく、透明化されているので前述したようなコミュニティにニーズがあります。特にミレニアム世代、若い人たちにニーズがあります。

また、会社の福利厚生にも使われています。会社に勤めているとそれぞれ福利厚生があるかと思いますが、その中で例えば女性であれば昼休みにネイルが出来る福利厚生が欲しいとか、エスプレッソマシンをみんなで買いたいとか、会社にハンモック置きたいと言うようなエンターテイメント要素でやりたい事があると思います。そうしたものも会社の福利厚生というよりは自分たちで管理することがこのGojoを使うことでできます。自分たちでネスプレッソのランニング費用をみんな月々300円ずつ積み立てて、カプセルを買った人が買った分だけ財布から抜いていく、というような共同財産としての使い方をしてもらっています。

最近ではフリーランスの方にもご利用いただいています。自分たちの福利厚生をフリーランス同士が集まってコミュニティになって管理する、というものです。例えばUberEats配達員のコミュニティがあるのですが、UberEatsの配達員とUber Japanには雇用関係がないんです。交通費は全て自腹で、配達中に起こった事故も基本的には配達員の責任になってしまうんですね。自分たちの事務所・オフィスもないので家から出たら直接配達、ということが当たり前です。昼の配達と夜の配達の間に時間が空いてしまう場合、自転車やバイクでの移動の為駐輪代がかかる、安易にカフェなどで待機できない、と言った事情から公園などで待機している方が多いのが現状です。そこで配達員たちがGojoの仕組みを使って待機所を作る、という使い方をしています。レンタルスペースを借りて、そのお金を自分たちで折半して使っている、という使い方です。

堀さん

レンタルスペースを借りるとなると、フリーランスにとっては料金的に懸念が生じるのではないですか?

私たちが提携しているGojoベネフィットの話になるのですが、今スペなび(https://supenavi.com)さんと提携をしていまして、UberEatsの配達員がそのスペなびでスペースを予約すると50%オフで使えるようになっています。
1時間2000円で借りれているので、10人来れば一人頭200円程度でレンタルスペースが借りられるといったことができ、カフェに行くより安く使える、ということになります。

それによりこの暑い中外で待機して熱中症になる事が無く、また自分に近い仕事をしている仲間が集まってその時間情報交換ができる、といったことも可能になります。

Uberの配達員はフリーランスなので、配達用のカバンをもらったら配達方法や稼ぎ方は自分で学んでいくスタイルらしく、そうした新人の方が待機所に行くことで、数年勤めているベテランの方から配達のコツや道路事情などを聴く事ができたりもします。新人さんがその待機所に立ち寄ると、ベテランの人から色々教えて貰える環境になるので、寒さ暑さをしのぐだけでなく研修機能を自分たちで果たす役割も期待できます。

共創概念がある全てのコミュニティが対象、という感じでしょうか?

そうですね。家族でもない、会社でもない、というところは全部ですね。あとは少し変わった人。変わった生き方をしたい、すごく先進的な働き方や生き方、人との関わり方をしたいと考えている人に使って頂けるツールかなと思っています。

ちょっとお金をシェアするということは日常で自然にやっている事だと思います。例えば飲み代を割り勘にして端数が出ると多めに払ったりだとか。その自然に行っている事をデジタル化しているだけなんです。例えば私の話で言えば、バスケもするし同期会もあるし今の会社の社内積み立てもあるし、自分が入っているコミュニティが全部Gojoにより可視化されています。会社だったらお昼代を福利厚生で会社の補助入れながら使える社内積み立てがあったり、同期同士だったら毎月500円積み立てて溜まったら飲みに行こうとか、それぞれ積み立て方は違うのですが自分が入ってるコミュニティが可視化出来るし、それがまた次回会おうねという約束になったりとか。

Gojoにおけるコミュニティの中では思いやりとか信頼とか感謝とかが行動のベースになっていて、お互い支え合ったり競い合ったりする共同体をもっと社会に作っていきたいなと思っています。私たちの企業理念は「世の中をもっと暮らしやすくしたい」というものでして、Gojo自体も家族のように助け合う共同体、会社のように社会に貢献しあう共同体、そこにGojoというサービス、共同財産を提供して、国や企業がやってくれない事を自分たちでカバーしていこうということです。自分たちがマイナスに感じている事や不便なこと、もっとこうすれば楽しくなる、という事を自分たちの力で勝手にやってしまう、というところを実現できるプラットフォームにGojoがなっているので、そういう社会を作りたいと思っています。

Gojoのロゴ

Gojoのサービス提供を始めて、予想外、想定外のところがサービスを使ってくれている、という事はありますか?

結構あります。Uberの例も、Uber配達員をやっている一人の方からすごく共感を頂いたところから始まったものです。私たちのサービスをプレスリリースした頃、それをご覧になった方が「この仕組みはすごくいい、使ってみたい」ということでお声をかけて頂きました。私たちもこの使い方は想定外でしたので、そういう新しい仕組みや使い方、特にシェアリングエコノミーの新しいサービスができた時に需要があるということを実感しています。

他にも使って欲しい団体やコミュニティはありますか?

まだ未着手ですが災害時の支援の際にも使えるかな、と思っています。何が一番良いかというとお金の透明化、というところです。こういった取り組みをやっている方は善意でやっている方が多いので、そこで利益を取りたいという気持ちは持っていない方がほとんどですが、誰かの銀行口座に入るとお金の出入りが見えなくなってしまいます。毎年の決算を出すと思うのですがそれもお金の流れが見えなかったりするので、そこの全てを可視化する、更には出したお金が誰に使われたのか、寄付した人が誰でその寄付金が何に使われているのか、どういう風に使って貰ったのかという事を可視化できる事に価値を見出して頂いて、ソーシャルグッドなものとか災害寄付にはフィットするんじゃないかと思っています。

今の地方創生は単発的な人集めしか出来ていないので、すごくマッチしているんじゃないですか?

はい、マッチしていると思います。サービスを利用して頂いている地方創生のコミュティもあるのですが、そこは山形県のある地域でほぼ毎日その日の暮らしぶりを発信してきてくれるので、その発信を見るとその地域がすごく近く感じることができます。新庄市というところなのですが、私は1回立ち寄ったことがあるくらいの関係性なのですが発信をみていて凄く身近な気持ちになったので、一度そこに行ってみようかなという想いが湧いてきて実際に行ってみたんです。「Gojoで繋がっている者です」という形で話が生まれてここで投稿して下さってる方にお会いすることができ、知り合いになれた、という経験があります。本来は知り合えなかった人と知り合いになれて、またその人に会いに行くという事が起こっていくと私はそこの関係人口になりますよね。そうした方を増やせる、というところがGojoの良いところかなと思います。

私自身も愛媛県出身で大学から東京にいて今は結婚もしているのですが、「地方に住んだり多拠点居住したいね」と言ったような話を夫としています。何回か移住のツアーに行ってみたのですが、いきなり住み始めるのもハードルが高いし、かといってツアーに一回参加した後はその土地でどんな事をやっているのかという情報が入ってこないし、移り住むというハードルの高さや関わり続けるというハードルの高さを感じたことから、結局移住するという選択肢はないね、という事になってしまいました。そこのハードルをもう少し下げたいなという想いもありましたし、地方で仕事を見つけることをもう少しやりやすくしたいなという想いもありました。Gojoのツールがあると自分が今そこに住んでいなくてもその土地の関係人口になることができるので、そこで知り合いが出来るとそこから仕事の紹介が貰えたりとか、リアルな関係性が出来上がってGojoが地域創生において核心的に貢献できるかなと思っています。

既にGojoを使っている方やこれから使って欲しい方に響くキーワードは何でしょう?

私たちは「共創と共助」だと思っています。家族のように助け合いたい方、会社のように社会貢献したい方々集まれ!という感じですね。

特にアンダー39歳くらいの方々。その層がGojoのユーザに結構多いというのもありますし、会社で出来ない事別のところで実現するという方がこの層に多いのです。ミレニアム世代の面白い事やりたい、助け合いたいという方集まれ、という感じですね。

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そこの層にはうまくリーチできている感触はありますか?

提携している会社のユーザ層で言うと20〜30代の若い方が多いです。マーケットフィットもあるのでシェアリングの業者と提携していくというのは間接的にユーザを増やしていくという効果があります。

私たちはクラウドファンディング の業者とも提携していて、そこで成功したプロジェクトのうち、共創的なプロジェクトにGojoを使って貰うというキャンペーンもやろうとしてます。シェアしているという事は誰かとお金を共有している可能性が高いので、そうした意味でもニーズが分かり易いというメリットがあります。

今後の目標について聞かせてください。

今後の目標は、私たちはお金の共同管理と言うところで究極のシェア社会を実現したいと思っています。どういうことかというと、自動車のシェア、場所のシェア、物のシェアなどそれぞれのシェアがあって、その分野でそれぞれ会社さんがいらっしゃるのですが、それらを全部ひっくるめて全部の会社のやっている事を一つのプラットフォームで実現できると、できるだけ費用を抑えて全てをシェアしている一つの「村」が出来るんじゃないかと思っています。そこに住んでいる人たち、共通の目的や課題を持って集まった人達というのは自転車も家も物もすべてをシェアしている、本当に昔の日本みたいに畑で獲れたものを隣の人に持っていったり、自転車だって誰かの所有ではなく皆の所有物、使いたい人が使えばいいじゃん、といったような。そんな社会を実現したいと思っているのです。

そこはその人たちにとっての一番幸せな空間になるかなと。社会や国に形取られた生き方ではなく自分たちが選んだ生き方をすることが出来る共同体をどんどん増やしていって、そこでは信頼の下全てをシェアしていく社会を作りたいなと思っています。

それを実現するために必要なことは何だと思いますか?

世界観を大事にしながら協業の相手を決めていくことかなと思います。パートナーシップを組んでいくという事は普通の会社さんもやっていると思いますが、私たちが大切にしているのはGojoというサービスが自分たちがやりたい”思想”に合っているかどうか、ということ。その方向性を見失うとすごくいい機能で大所帯なのに完全に思想が抜け落ちてしまって、よくある機能だけユーザに押し付けるようなものになってしまうと思うので、思想を日本の社会に提供できたらいいなと思っています。こういう生き方もあるんですよ、と。その中でGojoを使ってくれたら嬉しいですし、それに向かってそこに共感してくれる会社さんと提携したりユーザさんを呼び込んだりしていきたいなと考えています。

思想を前面に謳っているところは少なく、やはりテクノロジーメインの会社が多いのですが私たちは法律的な難しい側面をクリアして、お金をみんなで管理する仕組みを提供できるようになったということで、その生い立ちを大事にしながらこれから大きくしていきたいなと思っています。

gojo堀さん

どうすればそうした思想が広まっていくと思いますか?

まずはみんながもう少し「わがまま」になるとGojoのようなサービスが映えてくるかなと思っています。自分の生きたい生き方は何だろうとか、自分が一緒にいたい仲間はどんな人だろうという部分を見つめ直して、共通項のある仲間と共に今までできないと思っていたことを実現していこうよ、と。

一般的にはフリーランスは福利厚生が無いものだ、という固定概念のようなものがあったとしてもフリーランスも福利厚生を手に入れたいんだ、というある種のわがままを考えると、じゃあその時にGojoを使おう、という事になっていくかなと。

できるだけ皆さんがいかにわがままになっていけるか、というところが大事かなと思います。そこをブレイクスルーするには若干時期が早いかなと思っていますが、色々な方と接する中ではそういう方はいらっしゃるんですね。多拠点居住したいとか、自由を求めてフリーランスになったけど、揺り戻しで自分一人ではなく仲間と一緒に仕事したいと考えてしまうとか。そんな風に自分の生きたい生き方を実現する上で、みんながもっとわがままになっていったらいいのではないかと思います。

最後に、この記事を見て下さる方に一言お願いします

みなさん、もっとわがままになってください(笑)あと、この記事を見ていいなと思った方がいらっしゃったらご連絡ください。会いに行きます。

まとめ

シェアリングエコノミーの思想が広まっている今日、所有するという概念が無くなりみんなでシェアしていく世界が成り立つ日もそう遠くないように感じます。そんな中で自分が本当に生きたい人生、一緒に居たい仲間、自分という存在を見つめ直した時に、今よりもわがままになれる場所があるとなんだか心が軽くなりますよね。Gojoのサービスを利用することで、みなさんがそうしたなりたい自分を実現できたら嬉しいな、と今回のインタビューで感じました。

サイト : https://gojo.life/

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