救急車を断らない医師採用サービス「Dr.’s Prime」|前編

ドクラーズプライム田代表1

今回のインタビュー

ドラマでもよく見る救命救急。表向きは人の命を救い、とてもカッコよく見えますが、過労が故に様々なトラブルが起きているという実情を知った今回のインタビュー。今回はこうした課題に真摯に向き合い、問題解決すべくサービスを提供している株式会社ドクターズプライムの田真茂代表に、サービスの詳細と救命救急の実態についてお話をお伺いしてきました。

御社のご紹介と提供しているサービスについて教えてください

私たちドクターズプライムは、救急車のたらい回しをゼロにすることを目指し、病院に対して、救急車を断らない医師採用サービス「Dr.’s Prime」を提供しています。全国で救急車のたらい回しが問題となっており、ベッドが空いていないことや医師が過労だから受け入れられないという理由が一般的には考えられていますが、実は違うんです。先日医師が当直室に女性を連れ込んでいたという事例がメディアに取り上げられていたように、少数ですが、女性の連れ込みや飲酒によって救急車を断る医師もいるというのが事実です。つまり、今まで性善説で医師はしっかりと働いているんだ、と考えられていましたが、当直中の手抜きによって救急車を断ることがあるということです。

そうした実情は開示されず、医師だけが大変である、というように世の中に見えています。本当はこうした課題があるということを受け止め、それを解決するためにDr.’s Primeのサービスを始めました。

なぜこのような問題が起こるのですか?

医師が都心部に集中してしまっているため、地方の病院は医師をアルバイトで雇わざるを得ない状況だからです。地方でアルバイトをする医師は、平日は都心部の病院で働いていて、平日の夜や土日にアルバイトで地方に行きます。常勤先では給料が安く地方のアルバイト先の方が稼げるため、アルバイトをしています。常勤先の場合は、救急車を断ると翌日先輩から怒られてしまうから断れない。ただアルバイト先だと1人当直かつその場限りの勤務なので、その医師が1人で救急車を受け入れるか判断し、断ることもできてしまいます。そうした実情が救急車たらい回しを引き起こしているんです。病院は救急車を断っている事実を把握しており、かつ救急車を断ると売上が下がってしまうため、医師には救急車を受け入れてほしいのです。しかし医師が足りていないという現状では、病院が医師に対して患者受け入れを強く言えず、また管理体制を作ることも出来ず、困っています。医師の地域偏在化により、救急車を受け入れる体制が作れないのです。

Dr.’s Primeで解決できることはどんなことですか?

Dr.’s Primeを利用することで、病院は救急車を断らない質のいい医師を採用することができ、病院の売上をあげることができます。また登録する側の医師は、病院からの勤務評価や救急車の受け入れ数に応じて給与が決まるため、通常のアルバイトよりも高い給与で勤務することが可能です。現在医師の勤務評価をスコアリングしていき、医師版の食べログのようなものを作っています。医師の点数が100点満点中、一定以下になったらその医師の利用を停止する仕組みです。同じ病院のアルバイトでも、Dr.’s Prime経由の方が給与が高いので、ありがたいことに利用し続けたいと言ってくださる先生が多くいらっしゃいます。

それだけでなく、救急隊は搬送時間を短縮することが出来ます。救急隊の平均搬送時間が40分程かかっていますが、実際に患者さんが救急車に乗ってから病院に行くまでの時間は、本当は10分もかからないということもあります。では残りの時間は何をしているのかと言うと、その場に留まって、受け入れてくれる病院を探しているのです。救急隊は出来るだけ早く受け入れてもらえる病院を探しており、僕たちが救急車を断らない病院の情報を提供することで救急隊も搬送先の病院を探す手間が省け、搬送時間が短くなります。

ドクターズプライム説明画像3

Dr.’s Primeを思いついたきっかけはなんですか?

聖路加国際病院で救命救急医として働いていた際に、救命救急の中でも全ての重症度の救急を担当していました。救急病院は重症度別に、一次、二次、三次と3つに分かれ、三次救急病院が重症な患者さんを診るのですが、絶え間なく救急受け入れがあり、常に忙しかったです。現場で働く中で、三次救急病院が忙しい理由は、二次救急病院で診察することができる患者さんも三次救急病院に運ばれてくるからだと分かりました。例えば、足が切れていてその足を止血しなければいけない患者さんの対応をしている横に、風邪の患者さんが来るといった状態です。二次救急病院で診ることができる患者さんを、二次救急病院が断っているから、三次救急病院が忙しい。そして三次救急病院の人手が足らなくなり、重症度の高い患者を乗せている救急車でさえも断らざるをえないという実情を知ったのです。

このような課題に直面する医療現場で働いていたからこそ、救急病院の課題に気づくことができ、かつ医師だからこそ解決できることがあるのではないかと思い、このサービスを始めようと思いました。

Dr.’s Primeの強みを教えてください

僕らが病院に提供している価値は単純に医師を採用できるという提供価値ではなく、救急車受け入れの売り上げを増やせるという価値です。
また病院のみならず医師も給料が増え、救急隊も搬送時間が短縮でき、患者さんも迅速な医療を受けられるという4方良しのビジネススキームが強みだと感じています。

ドクターズプライム説明画像2

後編へ続く

前編ではサービスの詳細や解決できる問題、サービスを思いついたきっかけについてお聞きしました。後編ではアンタッチャブルな部分がある中で、この事業にかける想いについてインタビューしてきました。

ドクラーズプライム田代表2 救急車を断らない医師採用サービス「Dr.’s Prime」|後編

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