正しい歩き方をチェックできる「MirrorWalk」:前編

今回のインタビュー

皆さんは、ご自分の歩き方について考えたことはありますか?正しい姿勢、正しい歩き方で歩く事はできていますか?もしも、今の歩き方では近い将来、取返しのつかない慢性的な関節痛や腰痛などになってしまうとしたら、今の歩き方、気になりませんか?

今回はそんな「正しい歩き方」をチェックして改善できるサービス「MirrorWalk(ミラーウォーク)」を開発した「株式会社ジャパンヘルスケア」さんにお邪魔しました。代表である岡部さんに「MirrorWalk」について徹底インタビューして参ります。

御社のご紹介と、今行っているサービスについて教えてください

弊社は環境改善型予防医学で、疼痛予防に取り組むヘルスケア・スタートアップです。

筋肉や骨の痛みを抱えてる方はとても多く、外来の受診率で一番多いのは虫歯、2位が高血圧、3位腰痛、4位風邪、5位関節痛と続きます。風邪よりも腰痛で病院に来る人が多いのです。そして困っている人が多いにも関わらず、痛みの予防というのが全然されていなく、そこが一番の課題に感じています。そしてコミュニティや社会全体の環境を改善することで自然とそこに暮らす人の病気が予防される、という環境改善型予防医学で解決しようと考えています。

岡部さんの写真2

社長個人としてはどんなことをやっているのですか?

私個人の話を言えば、3足のわらじで活動しています。整形外科医として週1回で足専門の診療をしています。足が痛い、外反母趾などを抱える人たちを診ていますね。それとは別に千葉大学の予防医学センターで研究を行っています。公衆衛生と言うのですが、みなさんの健康を考える分野の研究をしています。千葉大学を中心に全国調査を実施しており、高齢者10万人に聞きました、というのを3年に一度やっています。私の場合は、そのデータを解析し、どうすれば地域単位で疼痛を減らせるかという研究を行っているところです。

そんな中で、このサービスを作るきっかけとはなんだったのでしょうか?

痛みで困っている人を助けたいと思ってサービスを始めました。痛みで病院にきた段階で、治らないことがあまりにも多いんです。骨がすでに変形して痛みが出る人が多く、その場合は変形した骨は元に戻らないので、痛みが治らないのです。自分で診察していても「まだ手術する程じゃないから湿布だけ出しておきますね」と言わざるをえず、内心おかしな治療をしていると思ってしまいます。もちろん筋トレやストレッチなどで多少和らいだり悪化を防ぐことはできるのですが、そもそももっと以前にやるべき事があったはずなのに、と分かるんです。だけど病院で診療していると本当に忙しく、山ほど患者さんがいらっしゃるので、そこまで手は回りません。例えば忙しい先生は1日100人くらい診ています。それでは社会はよくならないだろうと。最後のケツ拭きばかりやるのではなくて、もっと前に「こういう風に身体を使っておくといいですよ」といった内容を伝えていくであったり、サービスやインフラをつくる事で最終的に自然と痛みが予防される社会を作りたいなと思っています。

外反母趾の写真

研究をやっていく中で予防の為にサービスを思いついたということでしょうか?

実は私自身がそもそも歩き方が汚く、将来の痛みのリスクが高かったというのがありました。このことには活動する中で、徐々に気が付いたんです。もともと何となく歩き方に興味があったのですが、最初のきっかけが靴のIoT化を手掛けているスタートアップのノーニューフォークスタジオさんと「スマートヒール」のプロトタイプを作ったことです。スマートヒールというのは、ヒールにセンサーをつけて、そのデータから歩き方を可視化するというものです。ヒールは綺麗に歩けていないと疲れやすかったり、腰痛を引き起こします。キレイに歩けるようになって、「ヒールって履くの辛い」ではなく、気持ちよく履いて貰いたいなという思いでプロジェクトをやっていました。その中で「自分も歩き方が悪いのでは」ということに気が付いたんです(笑)自分自身将来の痛みのリスクがあることをはっきり認識しました。そういう風に見えてくると、実は周りがそんな人だらけだということが分かってきました。

歩く時の骨盤や足の動かし方などを見ていくと、「この人はキレイに歩けている」「この人は将来足を痛めそう」と分かります。これが全然知られていない。なぜかというと自分の歩き方は見えないんです。止まってる姿勢は鏡で見えますが、自分自身が歩いてる姿は中々見る事が出来ません。そのため上手に身体を使うことができず、その積み重ねで病気・ケガになってしまう。歩き方を可視化するのはキーになるなと思い、今はそこに注力しています。自分の歩き方を知ってもらい、キレイな歩き方を伝えていくという流れですね。

mirrorawalkの画像1

今行っているサービスの競合他社はいらっしゃいますか?

NECさんですね。センサーとして同じキネクトを使ってすでにサービスをローンチさせています。また靴で歩き方をセンシングするものもいずれ出てくると思います。健康経営の視点で使って貰いたいなという事も考えていて、そこでいうとバックテックさんは競合になりえます。腰痛対策をされているスタートアップですね。上手く連携できるのではと思っていますが。

競合と比べてMirrorWalkが勝ってる、強みなどはどのようなところでしょう?

NECさんとの比較で言えば、NECさんは高齢者を対象にしていますが、弊社は若者を対象にしています。若い人の歩行改善と、高齢者の歩行改善では内容が違うので、弊社は若い人が歩く時に気をつけるべき点はこういうところ、というのを抑えています。あとは足を専門にしている医者が開発しているというのが強みです。解析だけでなく、指導ができます。

mirrorawalkの画像2

メインターゲットは企業が対象でしょうか?

企業さんです。あとはジムや病院も対象ですね。健康診断や身体のチェックを行う場所です。
ただ現在の健康診断は役に立たないことが大規模研究で分かっています。医者に痩せなさいと言われてもなかなかダイエットできないですよね。もっと別のアプローチが必要なので、このサービスでは環境改善型予防医学の知見を活かした意味のある健康診断にしたいと思っています。

エンドユーザの方にとっては、どのような悩みを解決するものでしょうか?

ひとつは痛み、腰痛や関節の痛みなどを解決します。併せて疲れやすさも改善できます。あとは姿勢や歩き方が綺麗だと見栄えもよくなるし、実際に綺麗に身体を使い続けると美脚になったりもするので、美容面でも役立つかなと。見た目は大事ですよね。

ターゲットとしては、すでに痛みを少し抱えている人や、よく歩いたり立ったりする女性が最初になるかと思います。歩き方が悪いせいで腰を痛めたりすることも多いのでそこを改善するところから始まり、将来の予防の為にはみんなでやった方がいいよね、と広げていって、普段あまり健康を気にしていない人達にも広めていきたいと思います。

後編へ続く

前編では「MirrorWalk」を創るまでの経緯や、そこに込めた熱い想いについてお話をお伺いしてきました。後編では「MirrorWalk」を広めていくための戦略についてインタビューしています。

岡部さんの写真3 正しい歩き方をチェックできる「MirrorWalk」:後編

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