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今回のインタビュー
皆さんはスタートアップ企業が集まる地域として、どこをイメージされるでしょうか?渋谷や六本木といった声が聞こえてきそうですが、実は東京駅周辺でもスタートアップ企業がビジネスを加速できるようにシェアオフィスを提供しているところがあるんです。今回はそのシェアオフィス、「xBridge‐Tokyo」の運営をしている東京建物株式会社、渡部美和さんへインタビューしてきました。
御社のご紹介と今行っているサービスについて教えて下さい
東京建物と申しまして、1896年創業、創立122周年を迎える会社です。日本で一番古い総合不動産デベロッパーで、主にビル事業とBrilliaというマンション分譲事業を二大柱とし、その他様々な不動産サービスを提供しております。私が担当しているxBridge‐Tokyoという施設は、スタートアップの方向けのインキュベーション施設になっており、弊社が注力している八重洲・日本橋・京橋エリアにスタートアップの方々に集まっていただくための仕掛けとして取り組んでいます。
このエリアは大企業の方々は数多くいらっしゃるのですが、渋谷や六本木と比較すると圧倒的にスタートアップの数が少ないんです。東京駅前なので、オフィスの賃料が高いイメージがあること、そしてスタートアップの方は東京駅周辺で働くイメージをあまり持たれてないため、オフィスを構えていただくのはそう簡単ではありません。ですが、重厚長大な大企業が多いことが魅力であるこのまちに、更にスタートアップが集まることで、新しい風が吹いてイノベーションが生まれ、より魅力なまちになるのではと考え、このxBridge‐Tokyoという施設をつくりました。ちょうど1年経ったところです。
xBridge‐Tokyoの入居者は皆さんスタートアップの企業のみですか?
スタートアップの方はもちろん、スタートアップの方が成長するために必要な、例えばVCなどの投資家の方、また単なる事業会社の方だけではなく、マーケティングやデザイナー、エンジニアといった各会社の事業を強化できるようなを強化することに機能をもつ方・企業にもご入居いただいています。
こうしたスタートアップ企業はどのように見つけるのですか?
xBridge-TokyoはXTech株式会社さんとの共同運営施設になっております。私たち東京建物は、これまでスタートアップ業界の方との接点は多くなかったのですが、業界で様々な経験と実績をお持ちの西條社長経由で、このまちを一緒に盛り上げていただけるスタートアップをご紹介いただいたのが一番最初のスタートです。その後は、入居するスタートアップの方の口コミとご紹介によって、当初12社だった入居企業は26社にまで増えました。
コワーキングオフィスやシェアオフィスを提供している会社さんと御社との違いや御社の強みはなんですか?
”まち”をより魅力的にするための、長期的なプロジェクトになっているので、目の前の利益ではなく、何よりもスタートアップの成長や、スタートアップスタジオとしてのスタートアップ創出を重要視している点です。スタートアップに、この場所で成長し、一緒にまちをつくりあげていただくことが最大のミッションなので、利用料は思い切って破格の値段にしています。また、東京駅前で八重洲地下街に直結するこの立地が良い点は、営業が多い業種の方はもちろん、多くの入居者にご好評をいただいています。また、更に西條社長を中心として、様々なバックグラウンドをお持ちで、ノウハウや実績のある方が集っているので、そうした方と日常的に顔を合わせ、特にはお互いに情報交換したり、アドバイスし合ったりできる関係性になっているというところも大きな強みです。
あとは、これは強みだと言っていいのかはわからないのですが、先このxBridge-Tokyoは本当の意味でのシェアオフィスだなと感じています。つまり入居者の皆さんが、ご自身でこのxBridge-Tokyoを運営してくださっているんです。だからこそ、皆さんに”自分たちのオフィスだ”と感じてもらえているのではないかと思っています。
私自身が皆さんと関わりが持てる規模感ですので、起業家の方同士をお繋ぎすることでで横の繋がりが生まれ、実際事業でも連携されている会社さんもいらっしゃることは非常に嬉しいところです。xBridge‐Tokyoは、弊社とXTechさんの2社の共同事業で始まったのですが、入居されている方々がいらっしゃって初めて運営できているということを日々身に沁みて感じていて、皆さんとつくりあげているという実感があります。こうやってまち全体に広げていきたいなあと。
xBridge‐Tokyoは、入居者に対してどんな悩みや問題解決をしてくれますか?
私は皆さんの会社の”みんなの総務”を目指しています。また、八重洲・日本橋・京橋の魅力スタートアップに発信するというではコンシェルジュを目指していきたいと思っています。
”みんなの総務”については、まだまだ課題はたくさんありますが、オフィスの中でのちょっとしたストレスを最小限にし、入居者の方に悩みがあればそれを少しでも和らげられるよう最大限力を発揮したいと思っています。例えばエンジニアの採用に困っているという声が聞こえれば、採用が得意な方や企業の方をご紹介したり、同じ職種の他の会社の方同士をお繋げして情報交換していただいたり、です。忘年会・1周年記念パーティーといったオフィスの中での交流会では、起業家同士、エンジニア同士、デザイナー同士がそれぞれ関わるきっかけを提供できるように工夫しています。
xBridge‐Tokyoを運営する上で苦労したことはなんですか?
ご入居いただいている企業さんが我々が想定していたよりもかなり早く成長されて、嬉しい悲鳴なのですが、個室や席が足りないといった状況に陥ったことです。成長される過程で個室が重要になったりと事業の性質によって必要なオフィス環境も異なるということについては、我々も大変勉強になりました。結果的に、なんとか会社にも理解してもらい、当初100坪弱で始まったオフィスが今では約2倍の面積になりました。
xBridge‐Tokyoを運営する上で意識しているポイントはなんですか?
なるべく細かいルールは作りたくないと思っています。お互いにストレスフルだと思うので。入居者の皆さんのお仕事を邪魔せず、多くの方が気持ちよく利用できる最低限の方針を決めて、あとは信頼関係の下で好きなようにご利用いただいています。また、一度決めた方針も、皆さんの意見を踏まえながら適宜変更しています。当たり前ですが、安心・安全な空間で、かつビル全体の運営に迷惑をかけないということが守れて、入居者の方が問題ないなら、私も問題ないんです。ですから頭でっかちになりすぎず、柔軟に対応することで少しでも居心地の良い環境を目指したいと思っています。ただ、ルールがない以上、利用者の皆さんにお互いを思いやりながらご利用いただかなければならないので、そう言った意味ではご入居いただいている方は、もちろんお客様なのですが、お客様というよりは”同じオフィスで働く仲間”感があります。これって運営者としてそれで本当にいいのか、と思う一方で非常に有難いことだなと思いますし、同時にxBridge-Tokyoの大好きなところです。
後編へ続く
前編ではxBridge‐Tokyoがどういったシェアオフィスなのか、どんな問題解決をしてくれるのかという点や、強みについてお聞きしてきました。後編では、マーケティング的な部分のお話と今後の展望についてインタビューします。
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