このページの目次
- 1 今回のインタビュー
- 1.1 御社のサービスのウリや業界初、日本初、世界初のものはなんですか?
- 1.2 サイレントフェスはどういった人を対象として創ったサービスですか?
- 1.3 なぜこのサイレントフェスを思い付いたのですか?
- 1.4 世界中に広まっていったなか、なぜ大手に先じてサイレントフェスを導入できたのですか?
- 1.5 知名度がない中、サイレントフェスをどうやって広めていったのですか?
- 1.6 サイレントフェスはオーガナイザーのどういった問題解決をしますか?
- 1.7 雨宮さんの将来のビジョンについて教えてください。
- 1.8 そのビジョンを持つようになったきっかけについて教えてください。
- 1.9 そのビジョンを実現するために、直近1年以内でどんなビジネス/サービスをしてみたいですか?
- 1.10 御社のビジョンを達成するために、どんな企業と仕事をしたいですか?
- 1.11 まとめ
今回のインタビュー
これまでの概念には無かったサイレントな音楽フェス。今回はそんな音楽フェスにおける日本初のサービスを展開しているOzone合同会社代表の雨宮優さん(以下:雨宮さん)にインタビューしてきました。
御社のサービスのウリや業界初、日本初、世界初のものはなんですか?
雨宮さん:日本初、というところで「サイレントフェス®」というサービスを展開しています。お客様に専用のヘッドフォンをつけてもらい、DJなどの音楽をヘッドフォンをつけている人にだけ聞こえるシステムで最大半径30メートル、200人くらいまで共有できます。 周りから見ると無音なので、これまで騒音問題で開催できなかった場所、例えば公園や 本屋、図書館などで音楽を用いたプロモーションをしていけるようなサービスです。 今は全国各地いろんな企業や行政からお声がけをいただきます。店舗や飲食店、車の展示場、学校、 市役所などから。場所問わず、普段音が出せない場所からのご依頼が多いです。 機材やシステムのお貸しだしだけでなく、企画から製作まで全て請け負うこともあります。
サイレントフェスはどういった人を対象として創ったサービスですか?
雨宮さん:騒音問題に困っている人という面もありますが、当初はパフォーマンスしたくてもしにくい環境にある人向けに創りました。 例えばクラブやライブハウスなど、音が出せる場所を借りるのにはすごくコストがかかります。自分自身もそうでしたがライブやフェスなど自分で音楽の場をつくりたい、という人にとって作り始める段階でまずこの壁にぶつかると思うんですね。箱の文化はもちろん大事ですが、それ以外にももっと気軽に空間をつくれる選択肢があってもいいんじゃないか とそんな想いから、音楽イベントをつくりたいけど踏み出せない人に向けに作ったというのが当初の想いです。
なぜこのサイレントフェスを思い付いたのですか?
雨宮さん:元々はSilent Discoという名前でオランダで生まれたとされるアイディアなんです。音楽フェスなどを多く開催している 傍ら、騒音問題も深刻でそれゆえに環境活動家がSilent Discoというアイディアを広げていきました。そこから世界中のフェスやクラブでも導入が始まり、たまたま欧米のメディアを見ていたら発見したという次第です。概念的にいうとサイレントフェス®は弊社でプロデュースするSilent Discoのブランド名といった立ち位置です。
世界中に広まっていったなか、なぜ大手に先じてサイレントフェスを導入できたのですか?
雨宮さん:実際にやってみて分かったのですがビジネス展開していく上では、とてもリスキーな事業ということがあるかもしれません。まず文化や概念が日本に浸透していない中、 専用のヘッドフォンを大量に購入する初期投資の面で大手ではりん議が通しづらいというのと、運営面でも例えばイベント中に踊っているお客さんがヘッドホンを落として壊してしまったら、その時点でヘッドホンの再購入費でイベントが赤字になってしまったり、1から文化をつくっていく上でのコストもかなりかかってきます。
当時は独立してすぐで導入の壁すら知らない状況の中、自由な音楽空間を広げたいという想いと若気の至りで勢いだけで始めたのでそんなこと考えてなかったですけど(笑)
知名度がない中、サイレントフェスをどうやって広めていったのですか?
雨宮さん:
最初は持ち金全部をヘッドホンに投資して、全財産がヘッドホンだけみたいな状況から始まったのですが、まずは実績とコミュニティづくりを並行して行おうとクラウドファンディングを始めました。それは都内の某公園で野外サイレントフェスをしたいという企画だったのですが、泥臭くも無事成功し、その様子を新聞社の取材などもしていただいたことから認知が多少なり広がっていきました。
その後も月に2本くらいのペースで今もイベントを打ち続けています。最初はどこでやっても「日本初◯◯でのサイレントフェス」みたいな感じで謳えるので、学校やお寺や森、銭湯や天文台やカフェなど、考え付くあらゆる場所で新しい企画をつくり、その様子を多くのメディアに取り上げていただきました。場所とサイレントフェスの相性を確かめていくなかで、コンテンツのもつ本質的な価値や必要な工夫も見えてきて、独自のノウハウができてきました。
グッと認知が広がった感覚があったのはこたつのなかで開催する「こたつフェス」や銭湯で開催する「ダンス風呂屋」のときで、いくつかのテレビ局で特集していただき、その後Webの辞典にも「サイレントフェス」という言葉が載りました。
サイレントフェスはオーガナイザーのどういった問題解決をしますか?
雨宮さん:騒音問題はもちろんですが、サイレントフェスのシステムは通常の野外フェスのシステムの半分以下で導入でき、また電気の使用量も1/10ほどなのでコスト的な面でもフォローできるかと思います。
またオーガナイザーの課題以外でも、音楽を通したプロモーション及びコミュニティ醸成の機能は地域活性の文脈でも解決のきっかけになり得るかと思い、地域ごとにフランチャイズ的にオーガナイーザーを設ける「ローカルパートナー制度」もおこなっています。
雨宮さんの将来のビジョンについて教えてください。
雨宮さん:音楽フェス作りはまだまだ体系化されておらず、ボランティアスタッフなどで携わり、背中を見て学ぶような形でフェスの作り方が受け継がれているのが現状です。そうした現状を踏まえて、現在「ソーシャルデザインとしてのフェスづくり入門」というワークショップを定期的に行っています。出来る限り体系化したフレームワークを通してフェスの企画づくりを入門的に行うものなのですが、ゆくゆくはこのノウハウをライセンス化して、全国にソーシャルフェスファシリテーターを育成し、全国あらゆる場所で「希望的な未来を表現する手段」としてのフェスが同時多発し、ネットワーク化され相対的にオーガナイザーの負担を減らしていけるような仕組みをつくろうとしています。
そのビジョンを持つようになったきっかけについて教えてください。
雨宮さん:話せば長くなりますが、フェスティバルのような仮想社会空間により身体的な感覚から想像機会を連続させていくことが文明において必要な1要素だと感じていて、まぁ、そういうところからです。
そのビジョンを実現するために、直近1年以内でどんなビジネス/サービスをしてみたいですか?
雨宮さん:フェス作りのワークショップのほかでは、リアル店舗も今期中に作りたいと思っています。「ホワイトライブハウス」という概念を考えていて、具体的にはライブハウスの真逆バージョンで地下じゃなくて 1階、暗くなくて明るく、ジャンクフードじゃなくてオーガニックフード、アルコールじゃなくて体に良いドリンク、そして騒音じゃなくて無音。そんな音楽の場を作り上げようと考えています。
御社のビジョンを達成するために、どんな企業と仕事をしたいですか?
雨宮さん:まだ四国や九州の1部と東北では未開催なので、その辺りの企業や行政にお声がけいただければありがたいなと感じています。あとは箱をつくるためにいい物件を知っている方とか。まぁフェスティバルはなんせ誰でも参画できる敷居の広さが特徴なので、弊社のコンテンツにビビッときたあらゆる企業様からのお声がけお待ちしてます。
まとめ
誰でもどこでもフェスを作れるような環境を作りたい!そんな想いから始まったサイレントフェスは今やいろんな自治体や行政からイベントの依頼が来るまでに成長してきました。企画からフェス実行まで全てをソーシャルな目線で作り上げている雨宮さんは、来たる 2018年7月27日(金)〜28日(土)は動物のお面をつけて生物多様な楽しさを仮想体験する「Neo盆踊り」というイベントを開催します。 新しいフェスの形や世界観をぜひ体験しに行ってみてくださいね。
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