重量計測から発注まで自動でしてくれる「スマートマット」 |前編

林さん

今回のインタビュー

小売、物流、あるいは一般のオフィスでも、在庫の管理や棚卸は本当に手間です。数を数える事って単純な作業なのに結構辛いものがありますね。けれど、そんな面倒なことを自動でやってくれたら?在庫管理だけでなく、減った在庫を自動的に発注してくれる仕組みがあったら?長年悩まれてきた大きな手間から解放される事は間違いありません。

今回はそんな在庫管理の手間をこの世から無くしてくれる「株式会社スマートショッピング」さんのご紹介です。

御社のご紹介と、行っているサービスについて教えてください

我々はスマートショッピングという、インターネット系のベンチャーを経営しています。設立4年目、五反田で30名程で運営している企業です。現在行っているサービスは2つありまして、創業から行っているのが消耗品の「価格.com」のようなサービスです。(※価格.com:電化製品、パソコンなどの一般小売販売価格を比較できるサイト)

今立ち上げようとしているのはBtoBのビジネスになっているのですが、「スマートマット」という、載せるだけで物の重量を計測して自動的に発注を行うサービスとなります。

スマートショッピングのロゴ

具体的にはどういったサービスなのでしょうか?

ハードウェアが絡んだIoTのサービスなんですが、このスマートマットはA3サイズ、A4サイズと2種類のサイズがあり、いわゆる通信する体重計のようなモノです。電池で動いていて、物の重さ、製品在庫専用の体重計となっています。

我々が提供するハードウェアとして拘っているのが、例えばカプセルコーヒーだけ入るケース、ネジだけ入れるセンサーボックスなど特定の品物を計る製品は今までもありましたが、汎用的に使えるものにしよう、ということでこのハードウェアが開発されました。

製品は2サイズありますが、中に搭載されているセンサーの種類が違っていて、大きいほう(A3)だと100g単位で100kgまで計れるようになっていて、小さいほう(A4)は30kgまでしか計れませんが、メモリが10g単位で計れるようになっており用途別にご利用頂けます。A3のサイズでも、例えば大きなものを計ろうとするときは4つ並べる事で足し算で合計400kgまで計れます。台数を追加していけばその分計れる最大も上がるので、極端な話1tでも計測可能です。さすがに大きすぎるのは枚数が多くなってしまうのでダメですが(笑)

スマートマットの画像

このサービスのコンセプトはどういった内容でしょうか?

コンセプトの一つとしては、「上に置くものが何であっても対応したい」というもので、なるべくなんでも置ける形状にしているという事と、Wi-Fi通信、かつ電池を使ってコードレス化をしているのですが、コードを出すとどうしても電源に近い場所でないと使えないという事になってしまうという点を懸念して、いつでもどこでも気軽に設置して使う事が出来るように設計しています。

あとは出来るだけ安い値段にするために、ギリギリまで機能制限をかけているので大量購入をしたとしても大した値段にならないような、手軽に使えるように、汎用的に使えるハードウェアをシンプルに使って頂けるようになっています。ハードウェア単体で動いているわけではなく、計測したデータをクラウドに通信し続けるのですが、これは単純にマットの上に載った物の重さだけをそのままデータ通信するので電池でも長時間稼働するようになっています。

利用用途としては、上に載っている物が軽くなることでどんどん物が減ってきたという事をソフトウェアが気付いて、減った分補充してくださいね、と自動的にメールを飛ばすのが一番シンプルな使い方となっています。発注まで自動でやってしまう、となると自動で発注のFAXを飛ばしたりだとか、WEBで購入してしまったりなどがあります。外部のシステムとも連携が出来るようになっています。

特許出願中と伺いましたが、どこの部分に対して出願しているのですか?

このハードウェアを使ったビジネスモデルに対してです。マットそのものは今までの技術を組み合わせているので目新しいというものではありません。ただ、省電力性だったり、部品を劇的に減らしてコストダウンしていたりというところは拘っています。ビジネスモデルについては、今までありそうでなかった、ということで現在は競合がいらっしゃらない状態です。

競合はいないとの事ですが、こちらに近いサービスはありますか?

凄くニッチな専用容器は合ったり、RFIDでリーダーを通して在庫管理したり、あとはユニクロさんなどではタグにチップを埋め込んで在庫管理していたりというのが近い内容かと思います。ただ、既存のものはコスト面や読み取りなどで色々とリスクはあったりします。そこを比べるとコストは低く機能面もよいので、そこが他社さんと違うところかもしれません。

サービスの月額費用はどのくらいでしょうか?

初期登録費用は別途頂戴していますが、ご利用頂くハードウェアの台数によって値段が変わるプランとなっています。ここまで費用を下げられるのは、例えば重さが見えるモニタを付けるだとか、バーコードリーダーをつけて、とリクエストを頂いたりするのですがそういった事はせず、現在も操作するボタンも最小限(一つ)しかないとか、ハードウェアにかけるコストをギリギリまで抑える事によって、サービスの安さを実現しています。

他社さんを見ると、ハードウェアが凄く賢いところが多いのですが、我々はハードウェアは凄くシンプルにして、サーバ側、ソフトウェア側を賢くする事でハードウェア側を安くしています。そうすることでお客様に「少し変えてくれ」と要望があったときに、ハードウェアはそのまま使って頂いて、ソフトウェア側を変更するだけで手間がかからない上にコストが上がらないので、対応も断然楽になっています。そういった点を諸々踏まえて、「シンプルなハードウェア」と「賢いソフトウェア」という構成にしています。そこは基本、我々はソフトウェアの会社なのでハードウェアの形状にはあまり拘っていません。

一般的な業務用の計りは10万円くらいするので、その値段を使ってまで在庫管理したいと思う人が今までいなかったんですね。けれどこれくらいの値段だと使いたいと思う方もいらっしゃるんです。

スマートマット構図

制作した時に苦労した点はなんでしょう?

ちゃんと動くものを当たりまえのようにちゃんと作る、というところと、普通の体重計と違って、常に電源が入って動き続けないといけないのでその工夫には苦労しました。あとは安く作る、ちゃんと動き続ける、電池で動くというところに凄くこだわって、それ以外の部分はバッサリ切り落とす、みたいな感じでした。

このサービスはユーザのどのような問題を解決するのでしょうか?

在庫を管理する上で「物を数える」という工程を無くすというところでストレスが減っているというところです。一番簡単なのは人手が足りないところで、人手の代わりに機械が行うことで効率が上がるというところが一番分かり易い効果です。

その他には、単純作業を極力減らして効率化することで、サービス業に専念して貰えるとか、従業員が辞める率が減っただとか、人が集めやすくなったなんていう話も聞くようになりました。働き方改革の一環として、人を確保しやすくなるというところにも役に立てていると思います。

更に言うと、発注ミスが無くなったり、在庫を余分に置いておくスペースが必要なくなるなどのメリットもあります。パンを売るための材料を一つ発注忘れただけで莫大な金額の売上がなくなった、というような話も聞いたことがあります。そうした発注ミスによる損失というのは減らせていると思います。

色々と話を聞いて見えてきたのは、「メインの在庫」と「脇役の在庫」というものが存在している事です。例えば、一般的なオフィスではコピー用紙の枚数を在庫管理してはいない、飲食店では割りばしの本数を細かく管理しておらずざっくりと数えている、という感じです。そういった今まできちんと管理していなかったものを手軽に管理する事が出来る、と言うところで効果的にご利用いただけるサービスとなっています。

我々も最初はオフィスのコピー用紙くらいかな、と考えて始めたのですが、「ウチはここで使える!」と色々と教えて下さるんです。僕らが考えるというよりかは、お客様から教えて頂いてニーズを見つけてくるような感じですね。あとは、値段をもっと落とせれば一般消費者向けに展開したいというところは考えておりまして、一般の消費者の方にも使って頂いて「こういうのがあったら便利だね」という事は仰って頂くのですが、「お金を払ってまでは…」という感想が多いんですね。

スマートショッピング図式

後編へ続く

前編では、株式会社スマートショッピングさんの「スマートマット」がどんな商品なのか、商品について詳しくお聞きしました。後編では、マーケティング戦略について突っ込んでインタビューしてきました。

スマートショッピングアイキャッチ 重量計測から発注まで自動でしてくれる「スマートマット」 |後編

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