食べて味わうストーリー「ものがたり食堂」

めぐみさん写真1

今回のインタビュー

皆さんが知っている絵本や童話、映画のものがたりは目で見て、もしくは聞いて楽しむのが一般的ですよね。それらのものがたりを更に「食べて味わう」ことが体験できるイベントがあるなら、行ってみたいとは思いませんか?今回は斬新な発想で「味わうストーリー」を提供するさわのめぐみさんへインタビューを行なって来ました。

今行なっているサービスと、そこに対する想いについて教えてください

「ものがたり食堂」という誰もが知っている童話や映画、小説や絵本などからインスピレーションを受けた創作料理を、五感を刺激する「味わうストーリー」として提供しているイベントです。ものがたりを目で、耳で、舌で、前菜からデザートまでフルコースで体験できるものになっています。ものがたり食堂では、お料理を通してその世界観を表現しています。

また、ケータリングも行なっていて、ケータリングは現在企業さんに向けて提供しているものが多く、50人〜150人くらいの規模で行っています。

ものがたり食堂の写真2

元々お料理を学ばれている中でこうした活動をするようになったのですか?

元々はコックさんとしてお店で働いていました。家族全員が料理人という家庭で育ったので、物心が着く頃には同じ料理の世界に進みました。2年間イタリアへ修行したのち、日本に帰国してからお店を持たず、ケータリングやものがたり食堂の活動を行うようになりました。

ものがたり食堂のテーマはどのような基準で決めるのですか?

お客様のご要望をヒアリングして、お聞きした内容に合わせてテーマ決めをしています。中には、完全にお任せでと言われる方もいらっしゃるので、そうした時には私が表現したいテーマでやらせてもらっています。

実はものがたり食堂とケータリングは内容が違っています。ものがたり食堂はフルコースのお料理会のイベントで、ケータリングは企業さんのテーマを聞いてお出しするお料理の内容を決めています。ここ数年増えてきたオーダーが、結婚式の二次会やウェディングパーティーでのご依頼で、新郎新婦の馴れ初めを聞いたり故郷の懐かしいお話を聞いて、そこからオリジナルのお料理を提案したりもしています。

ものがたり食堂の写真4

これまでものがたり食堂はいろんなテーマでやってきたと思うのですが、同じテーマで行うこともあるのですか?

基本的には一度やったものがたりはやらないようにしているのですが、今までやった中でリクエストがあればお答えするようにしています。例えばお家でやりたいとか、どこどこでやりたいとか。ただ季節によって作品を選んでいるところがあって、例えば9月ならかぐや姫、2月ならチャーリーとチョコレート工場、と言った具合に季節に合わせてイベントを行っているので、使う食材が変わってきたりもします。もしも同じテーマでイベント開催のリクエストがあれば、食材やメニューが変わることをご了承いただいた上でやることはあります。

テーマをお料理で表現するときのコツみたいなものはありますか?

作ることそのものが表現だと思っているので、特にコツと言ったところは意識していないのですが、例えばものがたりの場所の歴史を調べたり、背景をリサーチしたりしています。

ものがたり食堂に関しては、それこそ本当にフルコースで一つのものがたりを表現するので、ものがたりを書いている人別でいろんな本を読んで比較してみたり、英語が翻訳されたものを読むことで同じものがたりの歴史を探っていくと、同じものがたりでも書いている人によって書かれている内容が違っていたりするので面白いです。

イメージとしては、私なりの読書感想文としてお出しする「味わうストーリー」といった感覚で、お料理を一つのアートとして披露している感覚です。だから、テーブルコーディネートもとても大切で、毎回、構成や色味まで事前にイメージを膨らまします。食べて美味しいだけじゃなくて、見た目にもおいしいように工夫しています。イベントに来てくださる方が、”その場”の雰囲気も楽しみに来てくださるので、使う食器にもこだわったり装飾にも力を入れたり、と細かなところまでしっかりと表現することを心がけています。コックではありますが、表現者でありたいとも思っています。お料理は私の表現の一つなので、自分の表現の場としてお料理を提供する、そしてそれを周りの方にも楽しんでいただけたらいいなーと思っています。

ものがたり食堂の写真

一つのものがたりのリサーチにどれくらいの時間をかけているのですか?

だいたい1週間ほど時間をかけてリサーチしています。この前開催したものがたり食堂のテーマが「ヴェニスの商人」だったのですが、まず本を読むのに1冊の本がなかなかのボリュームでした。翻訳している人によってニュアンスが少し違うので、「ヴェニスの商人」の本を3冊読んで内容の理解をしました。本を読んだ後にはヴェネチアの歴史を探る、ユダヤの食べ物を探る、ということを行なっていると、1週間くらいは時間がかかります。

特にヴェニスの商人は難しかったですね。今までは白雪姫やシンデレラと言ったように、既にみなさんが知っているストーリーをテーマにしてイベントを行っていました。今回なぜヴェニスの商人をテーマに選んだかと言うと、依頼を受けてイベントを行った場所がヴェネチアンガラスを取り扱っているお店でヴェネチアンビーズを使った高級なお皿を使用させてもらったのですが、こうしたヴェネチアにゆかりのあるお店でイベントを行う時にヴェニスの商人以外の選択肢はない、と思ってこのテーマで行いました。

ものがたり食堂のイベントではコースのお料理について1品1品説明しながらお料理会を進めていくので、そのストーリーを知らない人でもイメージできる状態である必要があります。例えば何をイメージしてこのお料理を作ったとか、を伝えていくんですね。元々作品を知っているような人であればイメージが付きやすいかと思うのですが、知らない人でもものがたりをイメージできるように説明をする必要があるので、ヴェニスの商人の時には特に下調べにも時間を掛けました。

ものがたり食堂の写真3

今まで苦労したことはどんなことですか?

買い出しと準備ですね。1回の参加人数が多いので、準備までが大変です。あとは1回のケータリングを全力で行うので、終わったあとの燃え尽き症候群がすごいです(笑)

一番大変だったのはイタリアでの修行時代でした。イタリアでの修行は、お料理を学ぶことはもちろんですが語学が足りていなかったので、言語の壁がある中での修行が本当に大変でしたね。

めぐみさん写真2

今後1年以内の目標はありますか?

「食べれる個展」として、個展を開くことが一つの目標です。展示をメインにした個展をやりたいと思っていて、それを見て感じたものを食べれるもので表現してその場で食べれる、と言ったものを開催したいです。

感情をテーマにしていて、感情を表すオブジェを作ってそこから感情を噛み砕くといったところを食べ物で表現する。感情を捨てる、手放す、ということを表現したいです。こうしたことを行うにはどうしたら良いか、というところで食べ物でそれを表現できたら面白いな、と思っています。悩んでいる人たちはいっぱいいるので、お料理を通してそこにアプローチしていきたいと思っています。落とし込むところは食で、展示をして食べて、嫌な感情を噛み砕く、というところをやっていきたいなと思って、今アイディアを膨らませている段階です。

今後依頼を受けたい先はどんなところですか?

アパレルです。既に依頼をいただいたことがあるのですが、アパレルは特にディスプレイにこだわると思うのですが、私自身も盛り付けやお皿にこだわっているのでそうしたところでうまくコラボできると面白くて楽しいですね。レセプションパーティーなどの機会にご依頼をいただくことが多いのですが、やっていて楽しいなぁと感じます。あとはテーマ(コンセプト)がしっかりしているのでお洋服に使っている色などを教えてもらって、その色を取り入れたお料理を作ったりといったように自分自身も表現がしやすいですね。アイディアも膨らみやすく、やっていて楽しいので今後もアパレルからご依頼があればいいなと思っています。

アイシングクッキー

最後に、ものがたり食堂のPRをお願いします

見て楽しい、食べて美味しい、と言った雰囲気が好きな方やイベント好きな方はぜひものがたり食堂のイベントに参加してみてください。ものがたりの中にまるで入り込んだかのような特別な時間に、何か新しい発見があるかもしれません。

ケータリング写真

まとめ

独自の感性を見事にお料理で表現し、素敵な世界観でイベント参加者を魅了する「ものがたり食堂」のイベント。お話を聞いていて私もぜひ参加してみたくなりました。この記事を読んでくださった皆さんもぜひ、お料理で表現されたものがたりの世界へと誘われてみませんか?

公式サイト:http://about-f.com/

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